ALP(アルカリフォスファターゼ) (血液)
基準値
基準値 | 38~113U/L |
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この検査で疑われる病気
- 高値:閉塞性黄疸、胆管炎、甲状腺機能亢進症、骨腫瘍、脂肪肝、薬物性肝障害 等
肝臓、胆道、骨、腸、などに多く含まれる酵素で、これらの臓器に障害があると血液中に漏れ出てくるため、値が上昇します。
ALP値が高いときの原因
肝細胞内胆汁うっ滞
肝細胞の形態は保たれますが、細胞内で形成された胆汁の成分が外部に排出できない状態です。薬剤性肝障害にしばしばみられます。
超音波などの画像検査で総胆管や肝内胆管に拡張がないにもかかわらず、血液検査での胆道系酵素やビリルビンが上昇しているときはこの病態を考慮します。
肝内胆管の閉塞
肝内胆管の閉塞で疑われる病気として原発性胆汁性肝硬変、肝炎などがあります。肝内胆管の比較的上流での細胆管の細胞が免疫的異常により破壊されたり、胆管の閉塞を起こす病態です。
進行すると肝臓全体の細胆管系が破壊され,ALPの上昇を引き起こします。
結石や腫瘍による肝内胆管の閉塞では肝内胆管のどのレベルでも発生します。しかし胆道の上流、すなわち肝臓内胆管では病変が相当大きくならないかぎり、ALPの上昇がみられません。
骨疾患
骨代謝が亢進(こうしん:過剰、活発になること)する疾患でALPは上昇します。腫瘍関係ではがんの骨転移、多発性骨髄腫、骨肉腫などがあります。骨代謝の亢進しない骨粗鬆症ではALPは変化しません。
甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンの過剰分泌により、骨の再吸収が促進され、骨からALPが多く放出されます。
潰瘍性大腸炎などの腸管の諸疾患
潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患でも、炎症部位からALPが放出され、血中ALP値が上昇することがあります。
各種臓器の癌
癌細胞は活発に分裂・増殖するため、大量のALPを放出します。
薬の影響
特定の治療薬を服用することによって、血液中のALPが上昇することがあります。
成長期の子どもや妊娠中の女性
成長期には骨におけるALPが増加するため、子どもの場合は成人よりも高い値が示されることがあります。また、妊娠中には胎盤でALPが産生されるため、基準値よりも高くなることがあります。
ALPについて
ALPはリン化合物と呼ばれる栄養素を分解する酵素です。
肝臓や腎臓、腸、骨など全身の様々な場所で作られますが、ALPは胆汁の中に多く含まれています。胆汁は肝臓で作られる消化液のことで、脂肪の消化を助けています。
最終的には肝臓で処理されて胆汁の中に流れ込むため、胆石やがんなどで胆汁の流れ道である胆道の流れが悪くなるとALPが血液中に放出されるようになります。
そのため、血液中のALPの値に異常がないかを調べることで、肝臓や胆汁の流れに問題がないかを判断できます。
具体的には、何らかの原因で胆汁の流れが滞ると、胆汁中に含まれるALPが血液中に移動するため、検査結果で異常高値となります。
胆汁の流れを悪くしてうっ滞させる病気には、胆管のがん、膵臓がん、十二指腸にある胆管の出口のところにできるがん、胆管結石、薬が原因の肝機能障害、原発性胆汁性胆管炎という免疫異常が原因の病気などがあります。
このようにALPの値によって薬が原因の肝機能障害だけでなく、胆管から十二指腸にかけてのがんをはじめとする重大な病気を知ることができます。
しかし、ALPは広く全身に存在するので、ASTの場合と同様、「ALPの値が高い」=「肝臓の働きや胆汁の流れが悪い」と判断せずに、それ以外の原因でALPが上昇している可能性についても考えることが重要です。
肝臓自体の細胞のダメージの大きさを示すASTやALTと共に検査を行うことで、肝機能異常の原因がどこにあるのか把握することができます。
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