聴力検査
低い周波数(1000Hz)と高い周波数(4000Hz)の両方の音が聞こえるかどうかを調べる検査です。
基準値
基準値 | 1000Hz:30dB以下聴取可能 |
---|---|
4000Hz:30dB以下聴取可能 |
この検査で疑われる病気
- 中耳炎
- 先天性難聴
- 騒音生難聴 等
労働安全衛生法で決められている職場の定期健診では、1000Hzと4000Hzの二つの音(周波数)についての聴こえを調べます。
この二つの周波数を調べる理由は、健診での聴力検査の目的のひとつとして、騒音性難聴を早期に発見する目的があるためです。
工場など騒音の大きな職場などで長期間働き続けることによって難聴がおこってくることがあります。このような難聴を、騒音性難聴、または職業性難聴とよびます。
騒音性難聴では、原因となる騒音の種類とは関係なく、4000Hz付近の聴力から低下し始めることが知られています。
騒音性難聴の初期には、4000Hz付近の聴力が落ちてきますが、通常、この時点では自覚症状はありません。
しかし、騒音性難聴は早期発見が重要なので、健診職場の健診で異常を指摘された場合には、なるべく耳鼻咽喉科を受診してください。
聴力検査の1000HZと4000HZはなにが違うの?
聴力検査の1000Hzと4000Hzは、音の周波数が異なります。
周波数は、音の高さを表す指標で、Hz(ヘルツ)で表されます。4000Hzは高周波数の音であり、鳥のさえずりやシンバルの音などがこの周波数域に含まれます。
一方、1000Hzは中程度の周波数の音で、男性の声やピアノの中程度の音がこの周波数域に含まれます。
聴力検査で4000Hzの音が聞こえない場合は、高周波域の聴力障害の可能性があり、1000Hzの音が聞こえない場合は、中程度の周波数域の聴力障害の可能性があります。
聴力検査では、様々な周波数域の音を聞き分けることができるかを評価するため、4000Hzと1000Hzの両方の音を検査することが一般的です。
検査で流れる音の大きさ
一般的に、健康診断の聴力検査で流れる音の大きさは1000Hzは30dBHL、4000Hzの音が40dBHLです。
dBHLは音の大きさの単位です。
○○dBHLと言われても、なかなかピンときません。具体的にはどのくらいの大きさなのでしょうか?
音の大きさ(dBHL) | 具体的な例 |
---|---|
0 | 健康な人が聞き取れるギリギリの音 |
10 | 深夜の郊外 |
20~30 | ささやき声 |
40 | 小さな声 |
50 | 静かな事務所 |
60 | 通常の会話 |
70 | 電話の呼び出し音 |
80 | 大きな声 |
ささやき声で会話することは少ないため、聞こえなくても困らないように思うかもしれません。
しかし難聴は進行する可能性がありますから、一度でも「所見あり」などの結果が出たら、定期的に耳鼻科を受診しておくことがおすすめです。
検査で毎年異常が出るのは年齢のせい?
年齢別平均聴力
年齢(歳) | 50~ | 55~ | 60~ | 65~ | 70~ | 75~ |
---|---|---|---|---|---|---|
1000Hz(dBHL) | 5.4 | 6.8 | 9.4 | 13.8 | 22.6 | 24 |
4000Hz(dBHL) | 11.3 | 14.7 | 20.2 | 29.1 | 40.2 | 40.3 |
聴力は、その人がギリギリ聞こえる音の大きさを示しています。
数字が小さいほど、よく聞こえているということです。
表を見ると平均的な70歳未満の方は、1000Hzでは概ね13dBHLの音が聞こえ、4000Hzでは概ね30dBHLの音が聞こえます。
平均的な聴力なら、70歳未満で健康診断で引っかかることはないということです。
70歳以上になると、4000Hzの平均聴力は40dBHLを超えるので、普通は健康診断で引っかかります。
70歳未満で、健康診断の検査の音が聞こえない場合は、加齢以外の原因で聴力が低下している可能性がありますから、特に注意が必要です。
難聴とはどの程度の聞こえにくさを言うのですか?
平均聴力レベルと聞き取りの不自由度の関係は、以下の表の通りです。
ただし、標準純音聴力検査は純音という音を聞き取る力を調べたものである一方、実際の聴力には、純音を聞き取る力以外に、言葉の小分けを聞き取る力など、他の要素も関係します。
そのためこの表は、あくまで大雑把な目安ということになります。
ちなみに日本では平均聴力レベルが両方とも70dB以上か、または片耳が50dB以上で、かつ反対側の耳が90dB以上の場合に、聴覚障害の身体障害者と認定されます。
難聴の程度と平均聴力
難聴の程度 | 平均聴力レベル | 聞き取りの不自由度 |
---|---|---|
正常 | 25dB未満 |
普通の会話は問題ない |
声が小さいと聞き取れないこともある | ||
軽度難聴 | 25~50dB未満 | 声が小さいと聞き取れないことが多い |
テレビの音を大きくする | ||
中等度難聴 | 50~70dB未満 | 普通の会話が聞きづらい |
自動車が近づいて初めて音に気づく | ||
高度難聴 | 70~90dB未満 | 大きな声でも聞きづらい |
商店街などの大きな騒音しか聞こえない | ||
重度難聴 | 90dB~ | 耳元での大声も聞きづらい |
日常音はほとんど聞こえない |
聴力検査で異常が出た場合の対処法
聴力検査で異常が出た場合は、医師のアドバイスに従うことが重要です。
以下は、一般的な対処法の例です。まずは耳鼻科を受診しましょう。
再検査を受ける
まず、異常が出た場合は再検査を受けることをお勧めします。
初回の検査結果に間違いがある可能性もあるため、耳鼻科を受診して再検査によって正確な結果を確認することが大切です。
治療を受ける
異常がある場合、病気や感染症が原因である可能性があるため、治療が必要な場合があります。
例えば、中耳炎や難聴の原因に応じて、薬物療法、手術、または補聴器をすることがあります。
医師や専門家に相談し、適切な治療法を決定する必要があります。
耳垢塞栓は耳垢が溜まり、外耳道で耳栓のようになることで、音が聞こえにくくなっている状態です。
この場合は、耳垢を取り除くだけで聞こえが元に戻ります。
耳の穴を塞ぐほどの大量の耳垢ですから、ご自分で取ろうとするとかえって耳垢を奥に押し込んでしまったり、外耳道を痛めてしまったりする可能性があります。
耳鼻科でとってもらいましょう。
突発性難聴などの場合は、早期にステロイド等による治療を開始することで聞こえが改善する可能性があります。
治療の開始は、早ければ早いほど良いと言われています。
急な聴力の低下を感じた場合は、健康診断の結果に関わらずに早期の受診がオススメです。
聴力が低下している場合、補聴器を使用することで聞こえやすくなることがあります。
専門家に相談し、適切な補聴器を選ぶ必要があります。
予防
聴力検査で異常がある場合、将来的な聴力損失を防ぐために、聴力を保護するための予防策を取る必要があります。
健康的な食事、十分な睡眠、運動、ストレス管理など、健康的な生活習慣を維持することで、聴力障害のリスクを軽減することができます。
また、騒音や高音の環境での長時間の暴露は、聴力障害を引き起こす可能性があります。
したがって、騒音や音楽の聞き過ぎに注意する、聴力保護のために耳栓を使用し、騒音の少ない場所に滞在することが重要です。
異常がある場合は、自己判断で対処するのではなく、医師や専門家の指導のもと、適切な対処法を選択することが大切です。
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