頭部MRI・MRA / 頸部MRA
MRI装置はCTと同じようにコンピューターで絵をつくって、頭の中の構造をみる装置ですが、エックス線の代わりに磁力を使います。強い磁力をあてると、金属だけでなく人間の体の細胞をつくっている分子の並び方に微妙な変化が起こります。その変化が水や脳や骨で違ってくることを利用し、CTと同じようにコンピューターで計算して断層写真にします。
頭部MRIは頭蓋内の病気を見つける検査です。MRIは検査の条件を変えることでいろいろな写真の撮り方ができます。現在、よく用いられるのは、CTのように水が黒、脳が灰色に見える「T1強調画像」、これを白黒逆転させたような「T2強調画像」、脳梗塞の病巣がよりはっきりわかるようにした「フレアー画像」の3種類です。これに最近、新しい病巣だけが非常に早い時期からわかる「拡散強調画像」という写真の撮り方が加わりました。
撮影方法によって見えるものが違うために、こんなに多くの撮り方で検査するのです。
頭部MRIでは複数の撮影方法により、脳梗塞や脳腫瘍などを早期に発見することが可能です。
MRAでは、脳全体に張り巡らされている血管だけを写し出すことができます。血管の一部が瘤(こぶ)状に盛り上がった脳動脈瘤や毛細血管が正常に形成されず、動脈と静脈が直接つながってしまう動静脈奇形などを早期に発見することができます。脳動脈瘤はくも膜下出血を、動静脈奇形は脳梗塞を引き起こすリスクがあることからも、早期発見が重要となります。
頸部MRAでは、頸部(首)にある大きな血管(頸動脈)の全体像を写す撮影です。
脳の組織に、栄養や酸素を送る重要な動脈が複数通っています。
脳梗塞の原因となる血管の詰まりや狭窄、動脈硬化など、動脈の全体像や動脈分岐部の状態を確認するための検査です。(頭部MRI・MRA実施の方のみ追加可)
頭部MRI検査所見
虚血性変化
大脳白質性病変・慢性虚血性変化・加齢性変化などいろいろな記載をされることがあります。
全く同じではありませんが、概ね表現しようとしていることは同じになります。
動脈硬化などで血液の流れが悪くなり、慢性的に血液が流れず脳に変化した部分がある状態です。
虚血性変化はごく軽度の加齢変化やいわゆる"かくれ脳梗塞(無症候性脳梗塞)"のことです。若いうちからこの虚血が多いと、脳梗塞になりやすいと考えられています。
症状を伴った脳梗塞が起きてしまう前に、虚血性変化の原因となる危険因子(高血圧、喫煙、糖尿病、脂質異常症、心疾患の既往)を見直し、生活習慣の改善や治療に取り組むことが大切です。
くも膜嚢胞
脳は内側から軟膜、くも膜、硬膜に覆われています。
膜が風船のように膨らみ、脳を圧排するような病態をくも膜嚢胞といい、生まれつきくも膜嚢胞をもっている先天性のものと、外傷や炎症によってできる二次性のものがあります。
基本的にほとんどの場合、症状はなく問題となりません。まれに、できた場所や、大きさによって症状が出ることがあります。
脳動脈瘤
脳動脈瘤は、脳の動脈の脆弱化や皮薄化した一部がこぶや風船のように膨らんだもので、動脈壁が高血圧や血流分布の異常などのストレスを受け、徐々に拡張したものと考えられています。
通常は脳動脈瘤ができても、症状が現れないことがほとんどです。まれに大きくなった脳動脈瘤が組織や神経を圧排し、症状が現れることがあります。
脳動脈瘤に気づかず破裂してしまった場合(くも膜下出血)には、激しい頭痛、複視、吐き気・嘔吐、項部硬直、意識消失などの症状がおこります。
脳動脈瘤は、MRA画像でこぶ状や風船様に描出されます。
脈絡叢嚢胞
側脳室三角部に後発し、MRIではFLAIR画像で水よりやや白く(やや高い信号)描出され、拡散強調像では白く(高信号)写ることがあります。
ほとんど症状はなく、通常20mm以下ですが、大きい場合は稀に脊髄の循環障害を起こし、頭痛・嘔吐・視力障害などをきたすことがあります。
透明中隔腔
MRIでは、すべての撮像法で水と同程度の信号として描出されます。
通常症状はなく、画像検査で偶然見つかることが多い病変です。
腔が非常に大きい場合は痙攣発作が起こることがあり、嚢胞化した場合は稀に水頭症を生じ、頭痛・嘔吐・視力障害などを来すことがあります。
血管腫
脳内の血管に発症する脳疾患です。
「腫」といっても本格的な腫瘍ではなく、古い血腫と異常に膨らんだ血管の集まり、つまり血管の形が変化して腫瘍のようになっている良性の病変です。
「脳の中に血管の成分が紛れ込んでいる状態」とされています。一般の腫瘍のように細胞が分裂して大きくなったり、悪性化することはありませんので症状がなければ、治療の必要はありません。
髄膜腫
髄膜腫は良性脳腫瘍の中で最も多い腫瘍です。
ゆっくり大きくなるので無症状のことが多く、脳ドックなどで偶然発見されることがあります。
発育もゆっくりであることが多いため、特段に大きい腫瘍でないかぎり発見してすぐに手術が必要となることは稀です。
初回は造影MRI検査で診断を確定し、その後は経過観察で腫瘍の成長速度を観察し、明らかな増大や症状を来す場合に治療の対象になります。
お電話からのご予約