大腸がんコラム Vol.5「専門医×放射線技師 大腸がんの予防と検査を医師と語る」 健診会 東京メディカルクリニック

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大腸がんコラム Vol.5
【対談】専門医×放射線技師 大腸がんの予防と検査を医師と語る

図 大腸壁の解剖図

「今、大腸がんが増えていると聞いたけれど、なにか予防法はあるのか?」
「大腸がんの検査はつらそう……」
「大腸がんは若いうちでもなるって本当…?」

現在大腸がんにかかる方が増え続けています。
国立がん研究センターの報告によれば、大腸がんにかかる割合は、40歳代から増加し始め高齢になるほど高くなります[*1]。
とはいえ、様々な理由から検査を敬遠する人が多く、なかなか見つかりにくいがんともいわれています。
[*1]国立がん研究センターがん情報サービスのサイトの「大腸がん(結腸がん・直腸がん)」による。

身近になりつつある大腸がんですが大腸がんとはどのような病気なのでしょうか?
健診会東京メディカルクリニック院長の近藤先生に話を聞きました。

健診会 東京メディカルクリニック 診療放射線技師長 三原 嵩大 技師 / 健診会 東京メディカルクリニック 消化器外科医 近藤 友樹 院長

三原技師
三原技師

当院ではメルマガ会員などを中心に定期的に健診人間ドックに関した健康に関する情報を発信していますが、一昨年より大腸がんについてのコラム記事を企画しています。
今回は実際診療に携わっている先生から大腸がんについてお話を伺えればと思っています。まずは自己紹介からどうぞよろしくお願いいたします。

近藤院長
近藤院長

近藤です。
どうぞよろしくお願いいたします。

三原技師
三原技師

この度は貴重な機会を頂戴しましてありがとうございます。
まずはざっくりと大腸がんとはどういう病気なのかについて教えていただけないでしょうか?

近藤院長
近藤院長

はい、日本人の大腸がんは男女ともに罹患率が増え続けています。
現在、死亡率においても女性が1位、男性が2位です。
毎年10万人ほどが大腸がんに罹患し、そのうち約4万人が死亡しているというデータもあります。
原因には食生活の欧米化が関与しており、動物性脂質(肉)や加工肉(ハム・ソーセージなど)を食べる機会が増えたことが考えられています。
肥満のほか、脂っこいものを食べる、運動不足、飲酒、喫煙などの生活習慣がある人はさらにリスクが高くなります。
大腸がんは40歳ごろからリスクが急激に高まるとされ、若いうちからこれらの生活習慣を改めることや、食物繊維を多く摂取することが大腸がんの予防に繋がるとされています。

三原技師
三原技師

なるほど、若いうちから健康な生活習慣と腸内環境を整えることが重要なんですね。
ほかにも大腸がんにはどんな特徴があるでしょうか?

近藤院長
近藤院長

大腸がんは早期に発見できればがんを完全に取り除ける(=根治の可能性が高い)がん種です。
ただ早期の段階では自覚症状がほとんどないため、見つけにくいのが難点とされています。
大腸がんにかかると、排便習慣の変化、血便などの症状が現れることもありますが、進行がんと言われる全身へ転移の可能性のある段階になっても症状がないことも少なくありません。

三原技師
三原技師

目立った症状がなければ、なかなか検査を受けようという気持ちになりにくいかもしれないですね。
目立った症状が出た場合は早めに医療機関などにかかったほうがよさそうですが、大腸がんに対し不安を抱えている方へ、医療機関や先生に相談したほうがよい兆候やタイミングなどアドバイスがあれば教えてください。

近藤院長
近藤院長

下血・血便症状があったときはもちろん、便秘や下痢をくりかえすようになった、腹痛症状が続いているなど今までになかったお腹の症状が出てきた場合は一度かかりつけの先生などに相談するとよいでしょう。
貧血が起きるようになったり、食事が食べられず嘔吐する、急に体重が落ちた
などの場合は我慢せず、早めに検査を受けられる医療機関にかかることをお勧めします。
特に40歳を超えると大腸がんリスクが急激に高まっていくので、症状がなくても1度は人間ドックなどで大腸の検査を受けておく方がよいですね

三原技師
三原技師

ありがとうございます。
排便やお腹の具合が悪いことが続いたときが検査を受けるタイミングなのですね。
しかし、大腸の検査では働く世代の方だと便潜血検査などを受けている場合が多いと思います。
便潜血検査を受けていても他の検査などを受けたほうがいいのでしょうか?

近藤院長
近藤院長

便潜血検査でひっかかったことがなくても、40歳を過ぎたら一度は他の検査を受けることをおススメします。
便潜血検査は便を自己採取して検査する方法で、簡便で身体的な負担もなく、大腸がん検診としても広く行われていますが、あくまでスクリーニングのためであり、この検査だけで大腸ポリープや大腸がんの有無を評価しているわけではありません。
毎年便潜血では陰性の(=ひっかかっていない)方でも、実際大腸検査をしてみたら大腸ポリープや大腸がんが見つかったという事例はたくさんあります。
そのため、大腸内視鏡検査や大腸CT検査で可視化した評価が必要といえます。

三原技師
三原技師

大腸の検査方法には他にも大腸内視鏡検査や大腸CT検査があります。
大腸の検査はなんとなく大変そうなイメージがある方がほとんどだと思いますので、実際のところどうなのか先生教えていただけますでしょうか。

インタビューの様子(左:近藤院長 右:三原技師)

インタビューの様子(左:近藤院長 右:三原技師)


近藤院長
近藤院長

先ほど述べた通り、大腸をより詳しく大腸を観察する方法として、大腸内視鏡検査や大腸CT検査があります。
どちらの検査も比較的高い精度で検査を行うことが可能ですが、どちらも検査前に下剤で大腸をきれいにするなど準備が必要となります。
特に大腸内視鏡検査では検査前に2リットル以上の下剤の飲用が必要になります。
それに対して、当院でも行っている大腸CT検査は内視鏡検査ほどの量の下剤飲用は必要はなく、飲む下剤の量は半量の1ℓ以下で済みますので、初めて大腸の検査を受けられる方にはおススメの検査です。
 日常生活で大量の水分を摂取する機会というのはほとんどないという方ばかりだと思いますので、この点を苦痛に感じる方は多いのではないかなと思います。

三原技師
三原技師

特に大腸CT検査はまだあまり聞いたことのない方が多いと思います。
検査の特徴などあれば教えてください。

近藤院長
近藤院長

当院では保険診療で認められるようになった2012年から大腸CT検査を導入し、保険診療と人間ドックを合わせてこれまで1万件以上の大腸CT検査を行ってきました。
欧米では大腸がんのスクリーニング検査としても広く行われています。
大腸内視鏡検査と同じく、数年に一度検査を受けることで、大腸がんのリスクを下げることができるといわれています。
これは他のがん種と比べて大腸がんは進行が遅いという特徴があるためです。
一度検査をして何も見つからなかった人が数年以内に進行がんが見つかることはほとんどありません。
 “何年かに一度”というのがポイントで、便潜血検査や他検診と同様に毎年内視鏡やCTを受けなければいけないと思っている方が多いのですが、その必要はほとんどありません。
 一度大腸の検査を行うと、大腸の状態が分かり、どのくらいの頻度で検査を行えばよいかが分かります。
特にポリープなども見つからず、大腸がんのリスクが非常に低いと分かれば3~5年は検査を受ける必要はなくなります。
一方で大腸ポリープが多く見つかれば、検査の間隔はそれよりも短くすることを推奨しています。

当院が大腸CTを行う4つの理由

三原技師
三原技師

大腸CT検査や大腸内視鏡検査を一度受けるだけで、何年間もの間、大腸がんのリスクを減らすことができるのは心強いですね。

近藤院長
近藤院長

当院では、大腸がんへの不安を感じている方や過去便潜血検査で引っかかったことのある方へ、まずは一度大腸CT検査を受けていただくことをおススメしています。
大腸CT検査は内視鏡検査に比較し検査時間も数分で終わるため、身体的負担も少なく済みます。
鎮静剤なども用いないため、検査後すぐに日常生活に復帰できるというのもポイントです。
下剤など検査前の準備に不安を感じる方には、さらに下剤量の調整をしたり、薬の種類を変更するなど、その方に合わせた最適な前処置を提案しています。

三原技師
三原技師

検査をして、大腸ポリープや大腸がんが発見されたらどうすればよいのでしょうか?

近藤院長
近藤院長

当院人間ドックで大腸CT検査を受けた方の5%に大腸ポリープが見つかっています。※2

当院人間ドックで無症状で検査を受けた方の5%に腫瘍性病変(ポリープ等)更にその10人の内1人に大腸がんが見つかっている

近藤院長
近藤院長

ポリープが見つかった場合は、直視下で治療が可能な大腸内視鏡検査も行う必要があります。
大腸ポリープや早期の大腸がんは内視鏡切除が可能です。
通常の内視鏡検査と準備は変わりませんので、当院では原則日帰りでの処置を行っています。
もし当院では処置が難しい病変などが見つかった場合は、処置が可能な連携病院への紹介を行っています。

若い方でもかかる可能性のある大腸がん。
症状が出ていないからといって、大腸ポリープや大腸がんがないとはいえません。
リスクが高まる40代のころから生活習慣を整え、きちんと定期的に検査を受けるなどして大腸がんのリスクを下げ、不安を解消したいですね。

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