胃がん・早期発見に向けた検査・代表的な症状について

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胃がん

胃について

胃は食道と十二指腸の間にある入口と出口が狭くなった袋状の臓器です。胃の主な働きは食べ物の消化・吸収と殺菌です。
食道につながる入口部を噴門部、十二指腸につながる出口部を幽門部、中心部を胃体部と言います。
胃の壁は内側から順に、粘膜、粘膜筋板、粘膜下層、筋層、漿膜下層、漿膜に分けられます。

胃がんとは

胃がんは、胃壁の内側にある粘膜から発生します。
粘膜 ⇒ 粘膜下層 ⇒ 筋層 ⇒ 漿膜へと徐々に外側に向かって広がっていきます。
がん細胞が、粘膜または粘膜下層までにとどまっているものを“早期胃がん”、筋層より深く浸潤したものを“進行胃がん”といいます。

胃がんの原因

胃がんのリスク要因

ヘリコバクター・ピロリ菌への感染

ヘリコバクター・ピロリ菌が胃の粘膜に感染すると、胃の粘膜に胃炎を引き起こします。感染の持続により、胃粘膜に慢性的に胃炎が起こっている状態になり、遺伝子異常を起こし胃がんになると考えられています。

ヘリコバクター・ピロリ菌の感染

ピロリ菌の感染経路はまだはっきりはしていませんが、免疫力の弱い時期(5歳まで)に感染すると考えられています。これまでのところ、井戸水と幼児期の食べ物の口移しによるものが多いと考えられています。

日本人のヘリコバクター・ピロリ菌の感染率は中高年で高く、若年層では近年低下傾向にあります。ヘリコバクター・ピロリ菌に感染した人の全てが胃がんになるわけではありませんが、現在、除菌療法が胃がんのリスクを低くするという研究結果が集積されつつあり、感染していることがわかれば除菌療法が推奨され、定期的な胃の検診を受けることが推奨されています。

日本のピロリ菌感染率の過去と将来予測
胃がんの原因の99%はピロリ菌の感染が関係しているといわれています
一度もピロリ菌感染の検査をしたことのない人は、
ABC検査(ピロリ菌抗体検査+ペプシノゲン検査)を受けてみましょう。
直接胃がんの有無を調べる検査ではありませんが、
下記のような検査により胃がんのリスクを調べることができます。

ペプシノゲン検査

血液検査でペプシノゲンの量を測定することで萎縮性胃炎を発見する検査です。
胃がんになる前に多くみられる萎縮性胃炎という病態を見つける検査であり、直接胃がんの有無を検査する方法ではありません。罹患するリスクを判定するための検査です。

ヘリコバクター・ピロリ菌抗体検査

血液検査によって、ピロリ菌に感染しているかどうかを調べる検査です。
ピロリ菌に感染した人すべてが胃がんになるわけではありませんが、胃がんになった日本人の多くからピロリ菌が発見され、胃がんや胃潰瘍との関係が指摘されています。
胃がんの有無を直接検査する方法ではなく、罹患するリスクを判定するための検査です。

ピロリ菌抗体検査で陽性(3~9U/mL)となった方は

抗体検査より精度の高い『尿素呼気試験』や『便中抗原検査』での追加検査をお勧めします。

尿素呼気試験

尿素を口から投与し、一定時間経過後、呼気を採取し、呼気中にある二酸化炭素の比率でピロリ菌の有無を調べる検査です。
ピロリ菌が、胃の中で尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解する働きを利用した検査方法です。

便中抗原検査

便を採取し、ピロリ菌抗原があるかを調べる検査です

喫煙

タバコに含まれる有害物質が胃の粘膜を刺激することがよくないといわれています。

食生活

塩分や香辛料の多い食品、熱い食べ物の過剰摂取、野菜や果物の摂取不足が指摘されています。
アルコールは適量であれば問題ありませんが、過剰な飲酒は胃に負担をかけてしまします。

胃がんの症状

胃がんは初期の段階で自覚症状がでることは少なく、進行しても症状がでないこともあります。

代表的な症状

  • 胃の痛み
  • 胃の不快感
  • 胸焼け
  • 食欲不振
  • 吐き気など

上記のような症状があげられますが、これらは胃がん特有の症状ではなく、胃炎や胃潰瘍などにもみられる症状です。

胃がんの検査

胃部エックス線検査(バリウム検査)

発泡剤(胃を膨らませるお薬)とバリウムを服用していただき、胃の形や粘膜などの状態や変化をX線写真で確認する検査です。

胃部エックス線検査(バリウム検査)

胃部内視鏡検査

先端に小型カメラ (CCD)またはレンズを内蔵した太さ5mm~1cm程の細長い管を、口または鼻から挿入し、これらの部位を観察します。
必要に応じて組織検査を行います。
詳しくはこちら

胃部内視鏡検査
ピロリ菌の感染があった方は消化器内科を受診し、除菌をしましょう。
除菌後は、年に一度内視鏡検査にて確認しましょう。

胃がんの治療

胃がんの治療は、手術(外科治療)、内視鏡治療、抗がん剤(化学療法)の3つが中心となっており、治療法は病期(ステージ)によって決定します。
病期(ステージ)は、胃がんではⅠ期(ⅠA、ⅠB)、Ⅱ期(ⅡA、ⅡB)、Ⅲ期(ⅢA、ⅢB、ⅢC)、Ⅳ期に分類されます。病期はがんの深達度、リンパ節や他臓器への転移の有無によって決定します。

胃がんの病期(ステージ)

胃がんの治療

外科療法

がん病巣を手術で取り除く療法です。胃の切除と同時に、決まった範囲のリンパ節を取り除きます。がんの治療法として最も基本的な治療法です。

内視鏡的治療

がん病巣を手術で取り除く療法です。胃の切除と同時に、決まった範囲のリンパ節を取り除きます。がんの治療法として最も基本的な治療法です。

抗がん剤(化学療法)

抗がん剤を用いてがん細胞を抑える治療です。 手術の前後にあわせて行う補助化学療法と、手術が適応にならない進行胃がん、再発胃がんに対して延命や症状緩和のために行う緩和的化学療法があります。

放射線治療

放射線を用いて腫瘍の成長を遅らせたり、縮小させるための治療です。
胃がんに対する効果は手術ほど確実ではない為、胃がんの治療で放射線療法を行うことは少ないとされています。脳や骨への転移がある場合の転移巣の治療、胃がんからの出血を抑える目的で放射線療法を施行することがあります。

この病気に対応した人間ドックコース

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