膵臓がん 健診会 東京メディカルクリニック

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膵臓がん

膵臓がんになったら助からない、膵臓がんは進行が速いから手術できない。そんな風に思っている方は多いのではないでしょうか。では、何故そのように思われているのかというと、それは膵臓がんが早期発見しにくいからなのです。腫瘍マーカーなどの血液検査や毎年やっている超音波検査は意味ないの?と思われる方も多いと思いますが、意味がないのではなく発見しにくいのです。
では、なぜ膵臓がんが何故早期発見しにくいのか、早期発見するための検査、膵臓がんになりやすい人について解説していこうと思います。

1.なぜ膵臓がんは早期発見しにくいのか

近年、がんの治療は目覚ましい進歩を遂げていて早期に発見すれば良好な予後が期待できるようになってきていますが、膵臓がんはⅠ期での生存率も40%程度でⅡ期でも18%、以降は数%しかありません。つまり、膵臓がんはステージ0、ステージ1で発見することで手術などの治療を行えることが重要なのです。
膵がんは早期がんの概念が存在しないが,『GL2016』では長期予後が期待できる早期の膵がんを腫瘍径1cm以下とし,主膵管の拡張,囊胞性病変が間接所見として重要と提唱している。
一方、現在で多くの方が定期的に受ける人間ドックにおいて、膵臓がんを発見するための腹部超音波検査は2cm以下では50~60%、1㎝以下では30%程度の発見率とされています。
超音波検査は観察範囲が狭く、皮下脂肪や空気の影響で膵臓の一部が見えないこともあり、人によって発見率が変わってしまうこともあります。 日本消化器病学会では

●従来,膵がんの画像診断はUSとCTで「腫瘤を描出する」ことが主目的であったが,予後良好なStage0やⅠ症例では「腫瘤が描出されず,EUSやMRCPで膵管の異常を指摘された」症例が多い。(表1)

●Stage0,Ⅰでは,CEA,CA19-9などの腫瘍マーカーの異常高値は低率である。 としています。 膵臓がんはステージ0の画像診断では、多くは腫瘤影として認められず、膵管拡張などの間接所見しか認められないので画像診断だけでは限界があるともいえるでしょう。

Stage0やⅠの膵臓がんの画像所見

日本消化器病学会消化器難治がんシリーズⅠ膵がん抜粋

2.発見が困難であった膵臓がんの早期発見の検査とは

最新の研究では、がんの種類によってマイクロRNA量が健常者とは異なることが明らかになり、マイクロRNAはがんのバイオマーカーとして注目されています。

健診会東京メディカルクリニックでは尿でできる、マイクロRNA×AIによる検査「マイシグナル」で7つのがん種別(膵臓がん含む)に対応しています。

採血のみの検査のため、既存の検査に比べて患者の負担が少ないというメリットのほか、画像検査等では確認できないグレイゾーンや「ステージ0」レベルでも疾患の可能性を発見することができます。 また、CT,MRI,超音波内視鏡検査(EUS)を用いて病変の同定を行うことが推奨されています。
当院ではMRI装置を用いて胆嚢や胆管、膵管を同時に描出するMRCP検査をおすすめしています。
MRCP検査について詳しくはこちら

●腹部超音波検査(US)の膵管拡張所見,膵囊胞性病変が診断契機として重要である。
●危険因子を複数有する場合,膵がん高危険群として検査を行うことが望ましい。
として膵臓がんの検査が推奨されていますので、下記のリスクファクターも確認して検査をご検討ください。

3.膵臓がんになりやすい人

膵がんのリスクファクターとして,膵がんの家族歴,遺伝性膵炎などの遺伝性疾患,糖尿病,肥満,慢性膵炎,飲酒,喫煙などがあげられます。 日本消化器学会では危険因子を複数有する場合,膵がん高危険群として検査を行うことが望ましい。また、膵がんのリスクファクターを有する患者を意識して,継続的に経過観察を行う。
としていますので、リスクがあるかをぜひご確認ください。

1)家族歴

日本における膵がん患者の家族歴に膵がんが認められる割合は,3~10%といわれる。家族性膵がんとは,親・兄弟姉妹・子の第一度近親者に2人以上の膵がん患者が発生した場合と定義される。家族性膵がん患者家系では膵がんのリスク比が6.79倍と報告されている。さらに同家系に50歳未満の膵がん患者が発生した場合,リスク比が9.31倍に上昇することから,膵がん診療において,家族歴を調べることは極めて重要である。

2)遺伝性疾患

遺伝性膵炎は,幼少期から急性膵炎を繰り返す遺伝性疾患で,PRSS1遺伝子やSPINK1遺伝子の変異を有する。遺伝性膵炎患者は,加齢に伴い膵がん発症のリスクが60~87倍に増加すると報告されている。遺伝性乳がん卵巣がん症候群は,BRCA1/2の生殖細胞の変異であり,乳がんや卵巣がんが家系内で発症する。遺伝性乳がん卵巣がん症候群の患者は,膵がん発症のリスクが3.5~10倍と高率である。

3)合併疾患糖尿病患者の膵がん発症リスク

3)合併疾患糖尿病患者の膵がん発症リスクは高いことが報告されている。特に糖尿病発症1年未満の発症リスクは5.38倍と高い。よって,新規発症の糖尿病や急激な血糖コントロール不良症例に対して,膵臓の精査が勧められる。慢性膵炎も膵がんのリスクファクターとされている。わが国の後ろ向き調査における慢性膵炎の膵がん標準化罹患比は11.8倍,デンマークからの報告では6.9倍と報告されている。膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductalpapillarymucinousneoplasms:IPMN)は,それ自体が浸潤がんへ進展する可能性があるが,IPMN以外の膵臓に原発性膵がんが発生する可能性がある。分枝型IPMNの膵がんの発生率は年率1.1~2.5%とされ,極めて高い。現在,日本膵臓学会を中心に大規模な前向き観察研究が進行中であり,IPMNに関連した膵がんの発生率の結果が待たれる。肥満も膵がんのリスクファクターとされている。わが国における大規模なコホート研究の結果から20歳代でBMIが30kg/m2以上だった男性の膵がん発症のリスクは3.5倍と報告されている。糖尿病などと合わせ,現代の食生活について改善する必要があるかもしれない。

4)嗜好

喫煙は,全臓器のがんにおけるリスクファクターとされている。喫煙の膵がん発症のリスクは1.68倍であり,非喫煙者のリスクと比較し高率である。喫煙は,他のリスクファクターを有する患者の膵がん発症の危険性も相乗的に上昇させることから,患者には動脈硬化などの危険性も併せて説明し,禁煙を勧めるべきである。大量飲酒者は,膵がんの危険性も増加させるとの報告もあるが,アルコールの直接的な作用なのか,慢性膵炎へ進行するために膵がんのリスクを上昇させるのかは不明である。

●参考文献

日本消化器病学会消化器難治がんシリーズⅠ膵がん
https://www.jsge.or.jp/intractable_cancer/pdf/suigan.pdf

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